1979年生まれ。岩手県宮古市出身。
住宅は皮膚や衣服に次ぐ「第三の皮膚」といわれます。空気、熱、湿気、触感など、人と住宅にはもともと密接な関係があり、この「皮膚」が快適であるのは当然で、そこに有害性があってはならないことは必要最低条件でもあります。外観や内装ばかりに気をとられ、こうした「皮膚」のはたらきを無視した住宅が増えているのはとても残念なことです。
私たちの建 てる住宅には吹き抜けがあります。しかも、床面と吹き抜け最上部との温度差はわずか 2 ℃ くらいしかありません。こうした間取りと室内気候が実現できること自体、これまで考えられないことでした。
断熱材の選定と入れ方、気密、通気工法の施工の仕方次第で、快適で健康的な住宅ができることを知り「NPO法人 新木造住宅技術研究協議会」の会員となって研修を重ね、すでに10年以上になります。こうして建てられた住宅は性能を数値で表すこともできます。
ちなみに、私たちの造る住宅の熱損失係数(Q値)の平均値は 1.5 W/㎡・K。 国の次世代省エネルギー基準による北海道Ⅰ地域基準(1.6 W/㎡・K)を上回る性能値を発揮します。
省エネルギーかつ全館暖房の空間は、アレルギー疾患をはじめ、脳卒中や心臓発作などのヒートショックから住む人を守り、50年、100年と長持ちする耐久性を発揮してくれます。
宮古・下閉伊地域で生産された木材を8割以上使い、地元の職人が地元の資材を使用して建てる「みやこ型住宅」の普及にも取り組んでいます。無垢材ならではのやわらかな触感、やさしい香り、珪藻土やにかわ接着剤など、自然素材の使用を徹底することで、住宅はまさに健康的な「第三の皮膚」となるわけです。
生涯にわたって快適・健康・安全に暮らすことのできる住宅を、この地に根ざして皆さまと一緒に考え、実現していけることを願ってやみません。